第5話
「店長、練習終わったら弦の張り替え頼んでいい?」
「もちろん。終わるまで待ってるか?」
「明日取りに来るから預かってて。」
「任せろ。」
練習終わったら張りたい弦見なくちゃ。
練習用のスタジオは、店の一番奥にある。ピッタリ閉じていた重たい防音扉を開ければ、暴力みたいに激しい音楽が私を襲う。それだけで気分は高揚して、荒波に飛び込むようにスタジオに入る。
「やっと来たよぉ。待ってたんだからねぇ?」
今の今まで暴れ馬のようなリズムを刻んでいたとは思えない。ドラムに隠れそうな小柄な体躯の女の子。
「ごめん。授業終わんの遅くてさ。つきま、私この後弦張り替えるけどつきまはどうする?」
「あー、じゃあたしも変えようかな。今変えたら次のライブまでに十分慣らせそうだし。」
ギターのチューニングをしながら話すのは、このバンドのギター、
雪宮の雪、月島の月、花園の花。この3つを取って名前をつけたこのバンドこそ、雪月花だ。
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