第6話

スリーピースのガールズバンドだけど、可愛さとか綺麗さを求めたことは一度もない。



組んだきっかけは、ありとあらゆる不平不満を発散するための手段として音楽を選んだだけだから。シャウトはするし頭だって振る。ライブの中で気分が高まれば中指だって突き立てる。



女の子なのに、とか理由にならない。そうしたいからしてるだけ。常日頃抱えるこのどうしようもない感情を、劣等感を、ぶちまけるためのパフォーマンス。



品がない、なんて母さんは言うけど。クラシックじゃないんだから、品の良さなんか求めてない。



今が楽しけりゃそれでいい。この3人で創る音楽が楽しけりゃそれでいい。



だから今日も私は歌う。がむしゃらに弾く。奏でるじゃない。掻き鳴らす。



こんな私たちでもファンだって言って聴いてくれる人がいるのは、やっぱり嬉しい。

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