第76話

「もう動かない・・・やっぱり故障かな・・・」




電源を付けるのを諦めてまたうずくまった。





顔を伏せて泣いていると、いきなり背中に衝撃が走った。





ゴンッという音と衝撃に驚き後ろを見ると、後ろにあった扉が開きごみ袋を持った女の人が私を見下ろしていた。




「あ・・・ごめん・・なさい・・・」すぐに立ち上がり走り出そうとした私の腕を女の人がつかんだ。




「ちょっと待って。」




つかまれた腕を見ながら、振り返った。



涙で滲んでいてよく見えないけど、相当な美人さんだ。





「お仕事の邪魔してごめんなさい・・・私、どくので・・・」




振り払おうとするとさっきより強くつかまれた。




「あの・・・」




「入りな・・・あなた・・・・『お姫様』でしょ?」




「私、お姫様なんかじゃな・・・」




「いいからいいから。」



強引に中に連れ込まれると二階に上がりお風呂場に連れていかれた。




「ほら、お風呂入って、服着替えな。あんた、チョコまみれじゃない。」

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