第74話

周りの人は小さな子を泣かせる私を見てこそこそと話している。




「ごめんね。本当にごめんなさい。」




お母様はこっちを見ると睨んだ。




「お願いだから、私の視界に入らないで頂戴。」




「はい・・・」




私は、チョコレートで汚れたTシャツのまま走り出した。




夏休みの原宿は人が多くてとても走りにくく、人にぶつかるたびにいやな顔をされた。




「はぁ、はぁ・・・・」




どれくらい走ったかわからない。




いつの間にかよくわからない路地裏に来ていた。





「ほんと、何やってんだろ・・・」





家の役に立たない私を母が嫌っていることは知っていた。




でも、ここまで嫌われているとは・・・




路地裏にあるごみ箱の横で小さくうずくまっていた。



ぽろぽろとあふれ出す涙を止めることはできなかった。

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