第53話

「こんばんは、えっと・・失礼ですがあなたは・・・・」





「ああ、直接お会いするのは初めてになりますね。私は沙妃さんの婚約者になったものです。」





「え?婚約者?」




「聞いていませんでした?」




「ええ、父は忙しい人なので・・・・」




私に婚約者がいたなんて初耳だった。





いつかはそんな話が出るだろうとは思っていたけど・・・




「そうですか、じゃあこの話はまた後日にしましょう。急にこんなことを言われても驚いたでしょう。これでも飲んで落ち着いてください。」




受け取ったグラスに入った水を一気に飲み干した。




水の味がおかしいと思ったときには手遅れで、お酒だったことに気が付いた。




お酒を飲んだのは初めてで、吐き気がした。



こんなところで吐いたらお父様に怒られてしまう。また浩一に情けない思いをさせてしまう。



「どうしました?大丈夫ですか?」



彼は心配そうに私の目を見てくる。



「大丈夫です。」

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