第52話

大きな会場で華やかに祝われる浩一を見ると少し羨ましく感じた。




私はこんな盛大に誕生日を祝われたことなんてなかった。





私は病弱だから、体調を崩してパーティを開けなかったらみんなに迷惑をかけるから最初からパーティアは開かないという設定らしい。




別に私は病弱というわけではない。




お父様や、お母様は私のために時間を割くのを時間の無駄だと思っているのだ。





小さな時から「沙妃は病弱」と教えられてきた浩一は私のことを病弱で楽をしていると思ってもおかしくはない。




「ネガティブなことばかり考えたらだめだ」




うんうん、こういう時こそ楽しいことを考えないと楽。



そうだ。今日は帰ったら恋愛もののドラマを観よう。キュンキュンするような話がいいな。




うんうんと頷きながら考えていると「こんばんは、沙妃さん」と声をかけられた。




目を声のするほうに向けると、知らない男の人がいた。




私はほとんど社交の場に出ることはないことから知っている人も少ない。

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