第76話

「結。あなたは悪くない。自分を否定したらダメ。それじゃ紗和子さんの死が無駄になる」




ガシッと香月さんに肩を掴まれ、我に返る。



お母さんの死が無駄に…………



無駄になんかしたくない。




「そうですね。ありがと。わたし、まだ受け入れられないけど…………頑張ってみます」



「そのいきよ、結」




香月さんはニコリと笑った。




「あなたにあってほしい人がいるの。私たちの家族に」



「えっ、私に?」



「そうよ」



「覇月さん以外にも?」



「当たり前よ。私たちの両親…………結の生みの親。それに、長に会ってもらわないと」




生みの親。



私のほんとのお母さん。




「そんなに固くならないで。結が思ってるほど堅苦しい人たちじゃないから。まあ、長は例外だけど……………」

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