家族

第75話

コンコン――――




部屋のドアがノックされ、反射的に涙を拭った。




「入ってもいい?」



「はい」




この声は香月さんだった。




「その様子なら…………手紙は読み終わったみたいね?」




私は頷いた。




「結ちゃん…………いいえ、結。あなたはまだ完全に受け入れられないかもしれないけど、ここがあなたの生まれた国で私たちはあなたの家族」



「はい…………手紙に書いてありました」




私はここで生まれたけど人間だったために日本という国で育った。



私は何も知らずにのうのうと生きてきた。



紗和子さんは自分を犠牲にしてまで私を守ってくれたのに。

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