第62話

妖怪のような面持ちをした男は、カエルのような湿っぽい手で結の顎を掴む。



湿っぽくて気持ち悪い。



触られていることに拒絶反応をしてしまう。




「美味そうな女。生気を吸い取りたくなるよ」




生気?



抵抗したいけどできない。



縛られている部分が痛い。



恐怖よりも男に対する気持ち悪さが勝る。




「ちょっとだけ、味見しよっかなあ♪」




は!?味見!?




「ばかかい。やめな」



「何をする!?ヴィラ!!」




パコンと金属器で叩く女。



顔は烏のように黒くクチバシのように鼻がとんがっている。




「盗み食いなんかするんじゃないよ。これはベロニカ様に贈るんだ」




さっきから飛び出してくるベロニカ。



ベロニカって誰?

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