第38話

参列者の中にはお父さんの親戚はいたが、お母さん側の親戚はひとりもいなかった。



ずっと不思議には思っていたが、お母さんには何か言えない理由でもあるのか。



今思えば生まれてから今までお母さんの親戚の顔は見たことない。




コソコソ陰口が聞こえ、私は逃げ出した。



一目お父さんとお母さんの顔を見れただけでいい。



そして陰で嘆き苦しみ泣いた。





『泣かないで』




私の肩を優しくさする小さな手。



その子は可愛らしい小さな女の子。




「え、」




私は目を丸くした。



まさか私がこんな小さな女の子に慰められるなんて。




『お姉さんの気持ち、すごく分かるよ。私もね、パパとママいないから』




様子から見て彼女の両親は小さいながら両親を知らずに育ったようだ。



そんな小さな女の子を途端に抱き締めたくなった。




『お姉さん、わたしとずっと、一緒にいてね……………』

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