悪霊

第39話

不気味な笑顔を浮かべる女の子。



少女は一年ほど前に火事で亡くなってしまい、この世に未練があり成仏することができず、幽霊としてこの世にさまよっていた。



彼女があの世にいかず、この世に留まる理由。



それは、器。



そして、復讐。



自分を見殺しにした親兄弟を死に追いやるため。



そして自分の器に成りうる身体を手に入れるため。





「おい、お前」




ガサガサと草むらから出てきたのは学校の図書館で出会った赤髪の少年のはず……………。



正真正銘、彼はこの世の人間でない、炎を操る少年だった。




「あなた…………あの時の人?」




彼女が疑問形で問いかけるのも無理ない。



今の少年の髪や瞳は赤色からは程遠い、さほど人間とは変わらない容姿。



瞳の色も髪色も黒いからだ。




「何驚いてるんだ」



「だって、あなたの髪……………真っ黒いんだもの…………」

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