第17話

家の中は静かっていうくらい静かだった。



いつもこれくらいの時間帯に帰宅することが多いが静かなことはまずない。



夕飯を作っていたりするものだ。



あまりにも静かすぎる。



まさか寝てるのかな?



だけど、お母さんのあの発言。



妙なことを思い出してしまう。



お母さんが死ぬだなんて有り得ない。



考えたくもない。



頭を横に振り家中を歩き回った。




「おかーさん??」




リビングに足を踏み入れた。



背を向けて正座をしている父の姿。




「ねえ。お父さん?そんなとこで何してるの」




背を向ける父の背に触れた。




「…………っ!?」




私はとっさに手を離した。



あまりにも父の身体が冷たかった。



まるで雪山にいるかのような…………死んでいるかのような…………。



でも今思うと床には時間が経って変色した血痕が残されている。



この固まった色濃い血は誰のもの?



私は怖くなって腰を抜かしてしまった。



だけどお父さんの身体が冷たい以上事実を認めるしかないのだ。



父は謎の死を遂げたのだと。

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