第88話

丸眼鏡の奥で細められている瞳に、どういうわけか胸が騒ついてしまう。


ハルナさんだ。


頬杖をついたままゆったりと見据えてくる彼は、喉の奥で小さく笑っていた。



「初対面なのにいきなりオタ知識披露されたら驚くって、普通」


「オタって…!」


「……ですよね?」




しかもあろうことか貶してくるし。


「ていうかまた勝手にイチゴオレ飲まないでください!」と突っかかる私に、「ストロー噛むのやめたらいいよ」と憎まれ口を叩くハルナさん。


この時はじめてハルナさんは、エリさんとサトルさんと顔を合わせた。






…ガタンゴトン。



「……ヨ、…」


「……」



エリさんもサトルさんもハルナさんのことを無言で見つめ、開きかけていた口を閉ざし、また開く。



「ないですよ〜!そんなことないです。めっちゃ助かりました!」

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