第77話

なんだろう。


ビックリしたけれど、私の絵のコアなファンか何か?



勝手にイチゴオレを飲まれる光景ももう慣れてしまった。




「イチゴオレだとかチョコだとか、本当に甘いものが好きだねえ、いろはは」



ケラケラと笑いながらも袋に手を伸ばすハルナさんは、今度はボリボリとアーモンドチョコを頬張っている。




「だから砕かないでください。あり得ない。アーモンドが可哀想ですし、またそんな分かったような口きかないで」


「ぜってーこうした方がうまいって。それにさっきも言っただろ?俺はいろはのことをよーく知ってるってー」


「ああ言えばこう言う…。この天パ星人め」





ハイキング客や、観光、温泉旅行客で賑わっている車内で、若者が向かい合って口論している。


まったく、なんでこんな人にムキになってしまっているんだ…。


シカトを決め込もうとした時、不意に溢れたのだろう失笑が耳を掠めていった。




「天パ星人か」



  


思いつきだけど、何でしょう。


観光マップを開いたまま眉を顰める私とは違う意味で表情を崩しているハルナさん。


何処と無く嬉しそうに見えるのだけど…もしかしてドMとか言わないよね?




「いや…、何でもない」




つくづく変な人だ。


何考えてるのかサッパリだし、すごくどうでもいいところで不可解なアクションをしてくる。

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