第25話

「ストロー噛んでるの、可愛いね」


「ストロー?」


「ほらこーんなにグシャグシャに噛んじゃって。ストロー噛む人って、実は寂しがり屋なんだって知ってる?」


「っ、うるさいな。ていうかまた断りもなく飲んで!」


「細かいことは気にしない〜気にしない〜」


「気にします!こんなにデリカシーのない人はじめてですよ!」




ほんとうにいつ降りてくれるんだろう。


さっきの発言からすると、おそらく終点まで降りてはくれないのかもしれない。



大きなため息をついていると、「すいません」と私の隣におじさんが腰を下ろしてきた。


軽く会釈だけしてリュックを膝の上に移動させる。




プシュー…、閉まる扉。


ゆっくりと動き出す電車。


こんな変な人に付き合っていられない。


読書でもしながらやりすごすことを決めた私は、荷物を漁ることにした。

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