第21話

素直に喜ぶハルナさんに見栄なんてものは存在しないらしい。


高校生相手にここまで子どもっぽい側面をみせてくる大人ってどうなんだろう。




「アーモンドと、ミルクと、オレオと、ホワイトがあります」


「なんでもいーよ」


「それが一番困ります」


「つーか、なんか遠足みたいだな」


「ねえ、ニヤニヤしないでください」



しかも気づいていないとでも思った?


この人、さっきからちょこちょこニヤけてる。




隠しきれない感情が表情に出ているのだ。


やっぱり変質者?


ハルナさんを少しずつ受け入れはじめている自分も自分だけれど、なんだかなあ。




食べさせてもらおうと瞳を閉じているハルナさんをマジマジと見てしまうのは、彼の顔のつくりがあまりに整っているからだ。


瞼にホクロがあるんだ。


目をつぶっているから分かったことだけど、こんなところにあるホクロを発見するというのは、相手がいかに無防備になっているからこそだ。


こんなものをあっさりと私に見せてくるなんて。


やっぱり変な人。



「えい、」


「ん、」


「…」


「んーっ、うまい!」




雑に口の中に放り投げると、ハルナさんはチョコを食べた。


結局迷った挙句、私はアーモンドチョコを選んだ。




こんなもの、自分で食べられるだろうに。


なんか付き合わされちゃうんだよね。と思っていると、あろうことかハルナさんはすぐにチョコをボリボリと噛み砕きはじめるのだから、笑ってしまった。

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