第89話

「ももちゃん…………ごめんなさい。せっかく買ってもらったキーホルダー。」




ぼろぼろと涙を零す私に「そんなのはいいから」とため息をつくももちゃん。





「桃矢、そんなに冷たくしてやるなよ。可哀想に。怖くて桃矢を頼ってきたんだから。優しくしてやれ。」ももちゃんお友達の……東さんはエプロンを着ながらそう声を掛けてくれた。






「うるさい、東は早くキッチンいけ。」




「ひっでえなぁ…………せっかく変わってやったのに。貸し1な!」




「……この間テスト対策付き合ったろ。……あと先週課題も手伝った。あとは……「ごめんなさい…………いくらでもバイト変わるし力になります。」






ももちゃん……大学でもそんなんなんだ。





「へへっ…」少し笑った私に、ももちゃんはホッとしたような顔をすると優しく頭を撫でてくれた。





「……うわー……珍しいもの見ちゃった。…………有栖川に教えよーっと。」あずまさんはそう言うとお店の方へ行ってしまい、静かになった部屋の中でももちゃんは、口を開いた。





「心当たりは?」





首を横に振ると「……そっか…………」と、ももちゃんは考え込むような顔をする。




「……ももちゃん……ごめんなさい、バイトの邪魔して。」でも、1人で家で待つのが怖かった。





「……家に帰って、めめ子がこんな状態の方が今後心配でバイト行けなくなるから。こっち来てくれて良かったよ。」やっぱりももちゃんの、声は少し冷たいけど…………優しい。

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