第51話

「有栖川さん!」





「妃芽ちゃん!……この間の、男の子……もしかして彼氏だったりしないよね?」






「そ……そんなのいないですよ!か……彼氏なんて……」





「なんか、めっちゃ妃芽ちゃんのお尻触ってるし、手が早いで有名な高校の制服着てたし……気になっちゃって、佐々木くんに連絡しちゃった。」




1週間経ち、有栖川さんにお茶に誘われてカフェに行くと相変わらず彼女はおしゃべりが好きらしくニコニコと、お話をする。





「私は中学卒業してからは、佐々木くんと疎遠になっていたけど……妃芽ちゃんは相変わらず仲良いのね。」




ももちゃんの親衛隊は本当に平和な人達だった。訳わかんないくらい。バチバチしている様子なんてひとつもなく、本気でももちゃんの過ごしやすいスクールライフを考えているような人達。






「え……いや、仲良いとかそんなんじゃないですよ。相変わらずお気に入りおもちゃ…?みたいな。」





「そう?……愛されてるじゃない。昔からずっと。」




ふふっと笑う有栖川さんに私も曖昧に笑い返す。





「そろそろ付き合ってるかと思った。」



急に変なことを言い出すから、手に持っていたカフェラテを落としそうになる。





「え……そ……そんなわけないじゃないですか!残念ながら私はただの下僕ですよ。…言われたことには逆らえないし……」





なんか言ってて切なくなってくるよ。




ため息をつくと有栖川さんは声を上げて笑った。

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