第33話

「……………」





「……ももちゃん?」




何も答えないももちゃんは、私を相変わらず見下ろしている。





「……え?」



ももちゃんの目から涙が落ちた。





私は起き上がると「ももちゃん……なんで」と聞いた。





「……俺はあの日………お前も一緒に散歩に行かなくて良かったって………心底そう思った。………2人はめめ子を責めないよ。」





本当にそうだろうか。





真っ赤な血を沢山流して………




私がそうなるべきだったんじゃないか。あんなに優しくて、人から好かれる人が……






「なぁ、めめ子……泣いていいんだ。………お前のせいじゃないよ。」




私が泣いていいわけない。だって……私のせいだから。





辛いとか、悲しいとか。思ったら駄目。そう思っていた。






せめて夢であればいいって思ってた。でも、ももちゃんから落ちる涙には熱があって……







「あぁ、やっぱり………夢じゃないんだ。……現実なんだ。2人は本当に死んじゃったんだ。私のせいだ。………ごめんなさい………ごめんなさいっ」




声を上げて、子供のように泣く私を手繰り寄せももちゃんが強く抱き締めてくる。





痛いくらいに強い。





「実果と信義はお前のこと責めてないよ。絶対に。」





「……でもっ……………」




「……あの人たちが………お前のこと責めるわけないだろ。」





声を荒らげるももちゃん。……こんなの初めて。

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