第32話

「うっ………」私は立ち上がるとトイレへ走る。




さっき食べたばかりのチャーハンを全部吐いて、呆然とその場に座り込む。




「……ごめんなさい………私のせいだ。」






「めめ子!?………あー……全部吐ききったか……ほら立て。」





開けっ放しだったトイレの中に入ってきて、流すと私を支えるように立たせ洗面所に連れていった。






「口ゆすげ。手も洗って。」



ももちゃんに言われるがままに口をゆすいで手を洗う。





気がつくとベッドに居て、横になるように促される。






「………めめ子……ふたりが死んでからずっとおかしい。」






「……え?」



真っ暗な部屋でベッドの端に腰掛け私を見下ろすと呟く。





「空元気で、ぼーっとしてることが多い。」



そっか。そう見えてたんだ。







「ごめんなさい………」なんて答えていいか分からない。ずっと考えてしまう。〝もし……あの時……〟と。





「……ももちゃん……………私が2人を殺したの。……あの日ペンを買いに行くように頼んだから。……狭い道を通らないといけなくて………」





ふたりが引かれた場所は人通りが少なくて、ひき逃げされた後……



直ぐに人に気がついて貰えなかった。





時間が経ってから救急車を呼ばれて………でも間に合わなかった。







「……私がペンなんてお願いしなかったらふたりは……死ななかった。あの道を通らなかったら。」




ももちゃんは何も言わないで私を見下ろしている。





「毎日2人の声が聞こえるの。「痛い……助けて。」って………血だらけでほとんど原形をとどめてなくて。……………2人のこと大好きだったのに……怖い。」

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