第15話
あ……でも……
何故か私を待ってる感じだったな。
「ほら、帰るぞ。」ソロりと、その場から逃げろうとするとガシッと腕を掴まれた。
観念をしてももちゃんについて行くと車にぶち込まれる。
「ももちゃん?……今日はどこに連れていかれるんでしょうか。」
「なんか、用事でもあるの?」
「いや……特には…………あっ、ペンを買いに行く予定だった。……その辺に捨てていってもらったら、どこかで買って帰るから……」
捨ててって貰おうと思ったけど……その気はないみたいで、無視して車を走らせるももちゃんに私はため息をついた。
「仕方ないから買い物付き合ってやるよ。感謝しろよ。」
「……ねえ!私怒ってるんだからね!!!この間の……あれ……」
「は?……何をずっと怒ってんだよ。」
こ……こいつ……覚えてないだと。
私の初めてを奪っておいて。
「わ……私の初めてを奪ったくせに!!おバカ!もう、許さない。口も聞いてやんない。」
「……だから、この間も言ったけど、めめ子は俺のものだから。何しようがと俺の勝手。むしろファーストキスがこの俺様だなんて感謝しろ。」
おっ…………横暴か!!!
だがしかし、ももちゃんは正直モテる。というか、モテるどころの騒ぎでは無い。
物心着く頃には、ももちゃんはご近所でも有名な美人さん。……というか、ももちゃんのご両親は女の子が欲しかったみたいで女装させている時もあった。
その姿は天使そのもので、かなり有名。
小学生になると、整いすぎている顔立ちからスカウトがひっきりなし。
告白なんて日常茶飯事で、ファンクラブの設立に加え親衛隊もいた。
中学時代は、バレンタインには他校からも大人数が押し寄せ、先生達から「頼むからバレンタイン当日は自宅学習をしてくれ」と頼まれていた。
高校の時は、格上すぎるももちゃんへ告白するなんておこがましいと、女子たちは協定を組み、ももちゃんの暮らしやすい高校生活の実現に向けて同好会がつくられ崇められていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます