第9話

「麗。はよ」


「おはよ。慶太くん」



教室に麗が入ってきた。


あ。麗。



「麗!おは………」



まただ。この感じ。


慶太くんの時と同じように私を過ぎ去る。


それはまるで私がここに存在してないみたいで。



「麗………?何の冗談?なんで無視するの!?」



だいぶ大声で叫んでいたつもりなのに、麗はビクともしない。


しかも、麗は私の声に反応していた訳もなく、キョロキョロと何かを探していた。



「慶太くん。翔子知らない?まだ来てないの?」



え?麗は今なんて?



「いつもなら来てるはずなのに。おかしいなあ…」



麗。何言ってるの?


私はここだよ?ここにいるよ?


なんで意地悪言うの?


私はずっとここにいるのに。

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