第23話 関係破壊
呱々原さんとのデートが終わって一週間が経過した。
結論だけ言うと、仲直りが出来ていない。
何とか俺から話かけようとするけど、キョドって逃げてしまうのだ。
呱々原さんが気になりすぎて夜にはかせの配信を覗きに行くけど、以前にも増して配信頻度が増えていた。
その姿は、リアルを知る俺からすると、まるで嫌な事から目を逸らしてるようにも見えた。
マジでどうしよう、この状況。
自業自得だけど俺が精神的に参っていると、更に爆弾が投下された。
図書委員の時間に俺はめげずに呱々原さんに話しかける。
「あ、あのさ、て、天気良いよねー。な、何て」
「!!!!?????」
座ってる椅子をずらして距離を取る呱々原さん。
「も、もう。私に、……かまわないで、いいから」
他愛もない雑談から関係の修復をはかろうとした俺に対する呱々原さんからのとどめの一撃。
「そ、そっか。……ご、ごめん」
ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!
死んだ。
関係が完全に終了した。
必死に表面を取り繕うけど、内面は煮込みすぎたカレーのようにグズグズになっていた。
そこからの事は覚えてない。
頭が真っ白の状態で家に帰って、風呂に入って飯食って、ベッドにそのままダイブした。
明日は学校を休もう。
そう思ってスマホでネットサーフィンに逃げようとした所で、誤って鳳凰院はかせのチャンネルのショートカットを押してしまった。
流石に今日は呱々原さんとのやり取りを思い出すからきつい。
……。
そうは思うんだけど、やっぱり気になる。
俺と関係を切った呱々原さんが、今日どんな配信をするのか。
■■■
◇鳳凰院はかせの配信◇
「言っちゃったな。どうしよう」
【コメント欄】
こん
どうしたの?
元気ない
「え、あれ!? ミュートになってなかった!?」
【コメント欄】
ポンコツ
聞こえたよー
どうした?
「んーーーーーー。もう配信なんか観てないよね。何だろう。やっぱり私の居場所はここだけだなーって思ってさ」
【コメント欄】
最近陽キャって言ってなかった?
陰キャが今更どうした
「そうだね。私陰キャなんだよ。でも皆知らないと思うけど、私リアルだともっとド陰キャなんだよ。言葉も上手く出てこないし。空回ってばかりだし」
【コメント欄】
皆知ってるよ
リアル上手く行ってるんじゃないの?
「いや、皆が思ってるより百倍凄いから! 最近友達作ってさ、その人が困ってたから力になりたいって思って、実際なれてるって舞い上がってたんだけどさ。実は迷惑かけてたってあとで分かったんだよね。必要とされてないのに余計なおせっかいかけちゃったよ。誰の役にも立ってないな私、みたいな」
【コメント欄】
そんな事ないでしょ
少なくとも俺らの役には立ってる
「皆ありがとう。ああああごめん! こんな暗い話するつもりなかったのに!! ゲームしようゲーム!!」
■■■
配信上の呱々原さんは十中八九俺の事を話してると思った。
「俺が呱々原さんを必要としてない?」
そんな訳がない。
最早俺の中でどれだけ大きい存在になってるか。
もし呱々原さんが俺を避けてる理由が、俺が怒らせたとかじゃなくて、俺が必要としてないとか、厄介者だと思ってるって勘違いしての事なら、そうじゃないって誤解を解きたい。
俺の気持ちを今度こそしっかり伝えたいって思った。
問題は伝えたいんだけど、今取り付く島もない状態なんだよな、呱々原さん。
そんな事を考えていたら、一通のLINEが飛んできた。
呱々原さん!?
慌ててベッドから起き上がってスマホ画面を見る。
しかし、そこには怜の文字があった。
失礼ながら落胆しつつ、内容を見る。
王子『夜奈ちゃんとは仲直り出来たのかい?』
俺は返信する。
槙島『出来てないよ。』
王子『そうか。どういうやりとりをしてるの?』
自分で考えなよって言っていたのに。
こうして連絡してくれて、本当に怜は優しい人間だと思う。
俺は怜に申し訳なく思いながら、この一週間のやり取りと、配信で呱々原さんが言っていたこと、そして、自分の気持ちを伝えようと思ってることを話した。
すると、
王子『気持ちを伝えたいって言うけど、正直僕から見て今の日向って、口先だけの人間に見えるよ。言った事何一つやってないし守らないし。そんな人間の口から虫のいい事言われたって、相手は困惑するだけだと思うよ』
ハイその通りです。
正論パンチが飛んできて俺はベッドに勢いよくダイブした。
槙島『どうすればいいのか分からないです』
王子『だからそれを自分で考えるんだよ。反省したなら、対策を取って行動して、結果を出すしかない。その結果が誠意や信用に繋がるのさ。今一度、自分のどういった行動と結果が夜奈ちゃんへの誠意になるか考えてみたほうが良いかもね』
口先だけのゴミクズが判明したショックで動けなくなった俺は、三十分くらいして怜にお礼のLINEをしたのち、改めて考えてみることにした。
俺は一体、何をすれば良いのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます