第95話

「りゅう?今日の夕飯はどうしようか。」




私の車椅子を押すりゅうにそう聞いた。





「んー、どうしようね。冷蔵庫にあるもので何か作るよ。」





「ありがとう。」事故の後遺症で、私の足は不自由となり、リハビリを頑張っているが、前のように歩くことは難しい。と言われている。






そんな私を彼は支えてくれている。






「もう、タバコ吸ってないの?」私がりゅうに聞くと「うん、廃盤になったからね。」そう答える彼に「そっか」と返した。






左手に光る指輪を撫でながら私は目を瞑った。






実はこんな私にも夢がある。






りゅうの赤ちゃんがほしい。





家族を捨て、一緒になった私たち。






私たちにはもう、縛るものはない。





それでも、彼との繋がりが欲しい。






溢れんばかりの愛で、彼と彼との子供を大切にしたい。




「りゅう。」私は車椅子から身を乗り出すように彼の方に振り向いた。





「あぶないよ。」そう言いながら彼は笑う。

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