第66話
彼の方を威嚇するような目で見た。
彼は「君は、だから隆さんに惹かれたんだよ。彼が人と違う見た目をしていたから。君は気がついてなかったんだね…君、昔から人を顔ではなくて体格、匂い、声とかで判断するクセがあるんじゃない?」
彼は私が話す間も無く話し続ける。
「久々に会う人のことを思い出せないのはその為だ。髪型や体型が変わってしまったり匂いを忘れてしまったり…」
私は久々に会ったりゅうの顔を覚えていなかった。彼の髪色や瞳の色が変わっただけで何もわからなかった。
「うそ…よ…」人の顔が分からなくて困ったことなんて今までないし…
違う…困らないようにしてたんだ。
不特定多数の人と仲良くしてたのは深く関わらないやつにするため。八方美人は徳だ。名前なんて呼ばなくて済むし、多少変な発言をしても生徒会メンバーで部活でもそこそこの成績を納めていた私はいじめられたり、変な目で見られることはなかった。
彼といて安心したのは、彼が人と違ったから。
彼が私と同じタバコの香りになったことでその安心感は増したんだ。
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