第63話

水を飲み干すとゴミ箱に捨ててまた歩き始めた。





時間ならどれだけでもある。





私はもう自由だから。




もう、いなくなる準備はできている。





海が見えた。





ここがいいかもしれない。





そう思って岩場に登った。





岩場の一番上は潮風が当たって気持ちがいい。目を瞑りながら風を感じていた。





そういえばと思い出してタバコを出した。





ライターで火をつけようと思ったけど火はつかなかった。




死ぬ前に吸おうと思ったけど、残念。




ため息をついてタバコを捨てようとした。





「タバコのポイ捨ては禁止ですよ。」その声に私は振り向いた。





人目のないはずの場所にその人は佇んでいた。

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