第56話

彼女は「自分を殺せ」と言った。




初めは俺の自殺を止めるためだと思った。





生徒会に入っている彼女は目立っていたし、人生に迷いなどないように見えたからだ。




彼女の苦しみに気がつくのはもう少し後になってしまうが、初めは信用なんてできなかった。




再開した時は、次こそ彼女の望みを叶えられると思った。




再会した日の彼女は絶望したような目をしていた。




彼女は幸せになんてなれていなかった。




俺は彼女を幸せにはできない。





でも、願いは叶えられる。




ずっと心残りだったことを全うできると思った。でも、そんな彼女から出た言葉は少し違った。





「責任を取る。」そう言った。彼女のことを忘れられなかった事が分かったのだろう。




彼女の言う「責任」は、俺を殺す事だと思った。




幸せになれなかった時に殺す事。

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