第57話

でも、違った。





彼女の「責任」は、俺の人生から消えることだ。





俺は彼女を幸せにはできない。ずっとそう思っていた。





それと同じで彼女もきっと思っていた。俺のことを彼女は幸せにできないって。





俺はそれに気がついた瞬間少しだけ笑った。





馬鹿だな。俺たちは…





俺はカバンからタバコを出すと握りしめた。





もう吸うことはできない。





あいしてるよ。みなみ。





憎いほどに。









救急隊に囲まれ、何かを聞かれるがもう何も聞こえなかった。




目を閉じると彼女の笑った顔が浮かんだ。





彼女の頬に触れる。





「さよなら…みなみ」

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