第36話

恥ずかしくて仕方がなかったが、姉を責めるのはお門違いだし、どうしようもなかった。





「はな、お母さん呼んでる。」彼女との会話はこの程度。日常の最低限の会話しかしない。




「わかった。」それは姉が高校に上がってからも同じだった。





少し変わったのはうちの環境だった。





「ごめんね、引っ越すことになって。」母と父はそう言った。




事業が傾いて割と大きな家に住んでいた私たちは引っ越すことになった。




手狭なマンションで、部屋は姉と相部屋だった。真ん中に仕切りを置いていたけど音とかは聞こえる。





そんな状況でも姉は何も言わなかった。






姉は私だけではなく父や母とも会話をあまりしなかった。





そんな姉に両親たちは愛着はないようだった。





同居している人。それくらいにしか思っていない感じだった。




でも、少し彼女が変わったような気がしたのはこの時だった気がする。

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