第18話
「もしもし……」電話を掛けると彼はすぐに出た。彼は私のことが好きだ。
『みなみちゃん!やっと出た!今日暇?』彼は無邪気にそう聞いてくる。
「ごめん、暇じゃない。」彼に対しての対応はいつもこうだ。距離を置いているつもりだった。
でも、彼はどんどん私にのめり込んでいるみたいなだった。
『そっか……じゃあ、また暇な日でいいから連絡ちょうだい。』彼にそう言われて私は「ごめん、もう会えない。」と言った。
彼に出会ったのは2年前、何となく優馬への当てつけの為にホストで散財しようと思った時に出会った子だった。
行ってみたはいいけど、ホストクラブは私には合ってなかったみたいであまり楽しめなかった。
たまたま私の席に着いた子が光だった。連絡を交換したけど、その先私はホストクラブには行くことは無かった。
ある日街中を歩いていた時に光が「みなみちゃん?」と話しかけてきた。彼の整った顔と犬っぽい雰囲気を覚えていた為、「光くん……だっけ?」と聞くと彼は嬉しそうに頷いた。
その日からだ。彼との関係が始まったのは。最初はママ活の相手とか、ヒモにでもなりたいのかと思っていたけど違ったらしい。
私たちが身体の関係を持つのは遅くは無かった。
左指の薬指に私は指輪をしているし、彼もきっとそれには気がついているはずだ。
まさか、本気にしていると自惚れたことなんて思っていなかった。
でも、彼が連絡してくる頻度は増えてきて、最近では私に本気になっていると気がついていた。
私が「会えない」と言うと彼は電話越しに『なんで……?』とすすり泣きながら聞いてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます