第97話

焦げ茶色の、緩くパーマがかけられた男⋯。


あどけなさが残る、可愛らしい顔つきの男⋯。



「え、あれ?なんで?なんで女の子がいるの?」



本当に驚いている彼は、「なんでなんで?」と、私に向かって問いかけてくるけど。

こんなイカれた建物で、初めて会ったその男に返事をするほど、私は強くない⋯。



「女の子来るのって、4日後じゃなかった? あれ?俺が間違えてんのかな?でも世那が5日後って昨日言ってたし、今日だったら4日後だよねぇ?」



世那の名前が出てきた時、ゾワっと、背中に冷や汗が流れた。

世那⋯。私の初めてを奪い、煌に引渡した男。



もしかして、前回の逃げ忘れ?と、顔を傾けてくる童顔の彼。



「あ!もしかして!煌のやつ、逃がさねぇで俺らに内緒で匿ってたんだな!?」



よく分からないけど、すごくテンションの高くなった彼は、「正解?正解だろ!」と、部屋の中に入ってきてズカズカと私に近寄ってくる。



窓際にいた私は、近づいてくる男にどうすることもできず。

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