第84話

私の頭が麻痺してきたのかもしれない。

あれだけ抱かれ、嫌なことをされたのに、もうこの場所に慣れてしまっている自分がいた。


いや、慣れたというより、慣らされたという言い方の方が正しいのかもしれない。



煌が出て行った。

昨日、逃げ出そうとした私を一人残して。



もう、服装なんかどうでもいいと思えた。上はタンクトップ、下はパンツと短パンのみなのに。この建物さえ出ることができればなんでもいいと。


タンクトップで胸の先がふれ摩擦が起こる度、痛みが出て。熱くなる体に涙が出そうだった。



ここへ来た時初日よりも遥かに痩せた腕を伸ばし、逃げるために扉の取っ手に手をかけた。



手首の腫れは少しひいていた。

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