第74話

ここへ来た時、仁は怖いすぎる態度で、私の首をしめてきた。


その時はまだ、源の女と言われていなかった。


でも、今日は?

源の女と知っているとすれば、

私を振り向かせようと、あんな態度を?


私が仁を好きになるのではなく、源と付き合いながらも仁と体の関係を持てば終わり?


首をしめる悪魔に戻る?

付き合っている二人の仲を引き裂くことに、興奮するの?




「―――それにしても、なんで雅のとこにいたわけ?」



ビクっと体が震えた。

そうだ、私は逃げたんだ、この男から。もうあんな行為はしたくなくて。煌がいないすきに、私は脱走しようとしたのに。


いつのまにか部屋に戻ってきている私は、煌の顔を怖くて見れなかった。



「俺から逃げようとした?」



ガクガクと、体が震えてくる。



「こんな傷まで作って」



煌の手が、布団の上から傷口あるであろう部分にふれる。ピク⋯ッとイヤでも反応してしまい、その反応を見て煌は「痛いの、気持ちよかった?」と、ありえないことを聞いてくる。

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