第62話
さっきとは違い、まるで獣のような瞳。
理性を失ったように、私の肩に向かって振り下げてきた雅の手には、私が割ってしまったグラスの破片が、握り締めりていた。
分かった時には、もう遅い。
「ッ―――!!」
肩に、突き刺さるような激痛が走る。
グラスの破片を私の肩に突き刺した雅は、その破片をどこかに放り投げると、ドクドク⋯と出てきた私の血にすがりつくように、出てくる血を舌を這わせてきて。
「痛いッ、痛い!!」
皮膚へと零れおちる血を舐めあげた彼は、今度は傷口に舌を這わせ。まるで傷口をえぐるように差し込まれる舌に、悲鳴をあげた。
鉄の匂いが、充満する。
「痛いっ⋯、やめ、痛いッ」
雅が傷口を舌でえぐるせいで、血が止まらない。
私の血を飲んでいる雅⋯。
「ッ―――痛いよぉ⋯」
痛みで、涙が溢れ出してきて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます