第60話
その指先が、雅の口に含まれた時、私は驚いて後ずさった。
何してるのっ、なんで、舐めて⋯!!
「い、いやっ⋯」
必死に手を引こうとするけど、がっちり掴まれている雅の手からは逃れられず。
ずっと指先を舐めている雅。初めて舐められるという変な感覚。それに加えてどうして舐められているのか分からない私は、「やめてっ」と口にする。
血が出なくなった時、指先が吸われる感覚がした。まるで一滴も零さないように、搾り取るように。
ずっとずっと吸い続けられて、私はだんだん怖くなっていた。
仁や、世那。
煌の時とは違う怖さが、私に冷や汗を流し続けて。
もう、吸っても出てこなくなったのか、ようやく指先から唇が離れ。
ハアハアと⋯乱れた息遣いの雅は、やっと私の指先を掴む力を緩めてくれて。
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