第59話
「さわるなって言っただろ⋯」
噛み締めるように呟いた雅は、私の指元を掴む力を強くし。
「み、やび⋯さん?」
私の指先から、ツーー⋯と、何かが伝う感覚がした。それは私の指先から流れて出ていく血だった。
ガラスを拾う直前に雅さんによってとめられたのに、雅さんを押しのけた衝撃で割れたガラスのどこかに指先が触れてしまったらしく。
「あ、あの⋯」
「逃げろ⋯っ⋯」
「え⋯?」
「くっ⋯そ⋯」
逃げろ?
さっきまでは逃がす訳にはいかないと言っていたのに。
なに?
なんなの?
どうしたっていうの?
あからさまに様子がおかしくなった雅は、強い力で私の指先を握りしめたまま⋯
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