第55話

「俺達は好き勝手やってるからね、それをよく思わない奴らもいるんだよ」


「⋯よく思わない⋯」


「族の女をさらっても、あいつら、ただ見てることしか出来ないから」



警察でさえ、逆らえない雅たち。



「あいつらは、俺たちを殺そうと必死だよ」



クスクスと可笑しそうに笑う雅は、「そういえば、源の女が入ってきたって、昨日世那が言ってたなあ」と、ポツリと思い出すように呟いた。



突然のそのセリフに、私は持っていたグラスを落としそうになった。


世那⋯、もう二度と会いたくない男⋯。



雅は私を見つめ⋯、ふと、考える表情をし。


その顔を見て、私はやばい⋯と思った。

100パーセントじゃないけど、きっと雅は勘づいている。

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