第48話

正直、体は洗い流したくて仕方がなかった。

服を脱ぎ捨るように体から離した。裸になり、浴室と思われる所に入る。そこには小さなお風呂桶と、シャワーが一つ。

あとは何種類かのシャンプーなどが備え付けられていた。


そして壁に設置している鏡を見た時、私は言葉を失った。首にある変色した痕。

ずっと泣いていたせいで腫れているまぶた。

ボサボサの髪⋯。


一夜にして変わり果てた自分の姿に、涙が出た。



どうしてこうなってしまったのか⋯。



シャワーを浴びながら、ずっと考えてた。



メビウス⋯

源⋯


分からない。ほんとに分からない⋯。


今、何時?

学校は?

無断外泊⋯

頭が回らない⋯。



私一体誰?


笹山陽向。


きっと、世那は勘違いしたんだ。

本物の笹山陽向という同姓同名の人物と。



雅という人になら、この話をしてもいいかもしれない⋯。助けてくださいって。



私はギュッと、蛇口を閉めた。


ぽたぽたと、髪から雫が流れていく⋯。

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