ヴァンパイアフィリア

第43話

煌がいない。

ほっとしたのもつかの間、襲ってくるのは喉の乾きだった。時計がないこの部屋は、何時かも分からない。

外の景色は明るい。昨日、何を言っても辞めてくれなかった煌を思い出す。

もしかして⋯1晩たった?



やけに重い体。

ふらふらで、震える足を頑張って作動させ、ゆっくりとベットから立ち上がる。

その瞬間、ガクンと膝から崩れ落ちた。

立ち上がることがままならないほど、震えている私の足。絶頂へ訪れるたびに痛みを与えてきた煌。

まさか、そのせいで?


必死に壁に手をつき、立ち上がった。

そのせいでズキンと手首に痛みが走り、瞬く間に体が少し熱くなるのが分かった。


痛みを与える度に、感じてしまう体⋯。



そんなわけないっ。


必死に足を動かし、扉の方へと向かう。



扉を開けても誰もいなく、殺風景な細長い廊下が続いていて。


煌が帰ってくる前に、逃げないと。

またあの地獄が待っていると思えば、こんな足の震え、なんともない。

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