第26話

血の味が、気持ち悪い⋯。

舌の動きが、蛇のように私の舌と絡んでいく。


「んんッ――⋯」


思わず声を漏らしてしまい、呼吸もままなく、酸素不足でおかしくなると思っていた矢先、ようやくねっとりとした舌が離れていく気配がし。


完全に離れた時、私は大きく息を吸った。



「これは誰がやった?」



これは?

何が?

なにを言ってるの?



煌の手が、私の腕を掴む。

じっと見下ろす先には、さっき激痛が走った手首があり。


誰がやった?

誰が?


そんなの、覚えてない⋯。

ずっとずっと、パニックだったのにっ。

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