第23話

「ふーん⋯」


低い声⋯。どうでもよさそうな雰囲気は、さっきまで一緒にいた璃久と似ていた。



「地味だな⋯」


「体はそうでもないけど、やってみたら?」


世那が煌と呼ばれる人物に聞く。


世那の言うそれは、性的なものだとすぐに分かった。痛みしかない行為。

やってみたら?

やってみたらって何⋯。

下腹部が痛い。

ポロポロと涙が零れ落ちる。



「殺さない程度にね」



ふと、私に誰かが屈んでくる気配がした。それが煌という人物とすぐに分かった。なぜならまだ世那の声は私の後ろから聞こえているから。



「源の女だし、何してもいいよ」



世那の声に体が震えている時、何かが私の頬に触れた。冷たいそれは、煌の指先だと分かるのに数秒かかり。力づくではないのに、本当に、とても自然な流れで私の顔を上へと向けせた煌の指と思われる慣れているその動き。


涙を流す私の視界に入ってきたのは、銀色の髪をもつ男だった。耳にはたくさんのピアス。鼻にもピアス⋯。


鋭い目付きはまるで蛇のようで。

スッとした高い鼻、薄い唇⋯。整った顔つきなのに、蛇に睨まれたカエル状態の私は、煌という人物から目が離せなかった。

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