第20話

「源に頼まれでもしたの?」


頼まれでもした?



「ねぇ、笹本陽向ちゃん」


世那の言ってることが、本当に分からない。



「知らないんです⋯ほんとに⋯知りません⋯。助けてください⋯」


「嘘ついたらもっと酷くなるの分からないかなあ?」


「嘘じゃ⋯ありません⋯」



これ以上、世那の笑っている顔を見るのが怖かった。またあの悪魔のような笑顔で私を犯すんじゃないかと思ったら、体が震えてたまらない⋯。


メビウスなんか、知らない⋯。

源なんか、知らない。


どうして見ず知らずの世那が、私の事を知っているのかさえも分からないというのに。



知らないという私を全く信用していない世那は、「またやられたいの?」と、恐ろしいことを簡単に言う。

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