第19話
「ほんとに⋯知らな⋯」
「うざいなあ、そういうの。泣けばいいと思ってるの?」
まだまだ枯れそうにない涙は、溢れ続ける。
泣いている理由はあなたのせいなのに。私を逃がしてくれない世那。
「か、さんの⋯」
「え?なに?」
「ここに⋯来たのは⋯おかあ、さんに⋯、届けものを⋯わたしに⋯来ただけ⋯で⋯」
ここに来たのはお母さんに届けものを渡しに来ただけ。そう言ったのに、「それで俺が騙せると思ってるの?」と、呟く。
騙してないのに。
本当の事なのに。
本当にお母さんに届けものをしに来ただけなのに。
「嘘つくの下手だね」
嘘じゃないのに。
「ここにお母さんへ届け物?馬鹿にしてる?」
馬鹿になんかしてない。
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