第9話
私はもう、終わるのを待った。
苦しくて辛くて痛い思いをするのは、もう嫌だ。
手首の服のすそで涙をふいているとき、先程仁が出ていった扉が、急に開かれて。
その音にビクッとした私は、その方へと視線をずらした。けれども動きを止めない世那に、顔をしかめる。
「え⋯?世那、何やってんだ?」
中に入ってきたのは、金髪⋯。
「あれ、璃久(りく)、用あるんじゃなかった?」
「なくなった⋯、つーか、ここでやんなよ」
「仁からの許可あるから。璃久も混ざる?」
「混ざるって⋯」
璃久と呼ばれた男のは、どすんとソファに座り、ずっと腰を動かし続ける世那を止めようともしない様子で。
「この中に無断で入ったんだよ〜」
「へぇ、なんで?つかどうやって?」
「それが喋んなくて、ね?」
「それで、やってる理由は?」
「仁が口割るまで廻せってさ。俺はお先につまみ食い」
「ふーん」
「あれ、血ィ出てる。大丈夫?」
どう見ても大丈夫じゃないのに。ニコニコ笑っている世那の動きは止まらず。私は歯を食いしばって涙を流す事しか出来ず。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます