第61話
「……はい」
「……出るの遅い」
田中くんの声。
いつもと変わらず低い落ち着いた声。
「何か用……?」
「他人事みたいで傷つくな」
その割に声は明るかった。
まあ、他人だもん。
「用があるから電話してきたんだよね?用がないなら切るよ?」
「こないだ、キーホルダー忘れなかった?」
キーホルダー。
「桜のキーホルダー。一ノ瀬のだよね?俺があげたやつまだ持ってたんだ」
田中くんに気持ちを見透かされたみたいで恥ずかしかった。
下心入りのキーホルダー。
長い間気持ちを引きずっていなければ未だに持ってるはずがない。
「デザインが可愛いから……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます