第60話

それに落ち込んでいるのは田中くんのことだけじゃない。


鍵につけていたキーホルダーを落としてしまったのだ。


そのキーホルダーというのら実は昔田中くんがくれた思い出のもの。


田中くんは私にくれたことなど覚えてるはずないけど。



そんな時電話が鳴った。


電話の相手はもちろん田中くん。


仕事の電話かも。プライベートな件かも。もしかしたら瑠奈たちの件かも。


心当たりはたくさんあるが直ぐに出れなかった。


怖かった…なにを言われるのか怖くて。


しかし、切れても度々電話が鳴った。



「………」



枕で耳を塞いでも、布団を被って聞こえない振りをしても電話が鳴り止まないことはない。



さすがに諦めて携帯を手に取る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る