第24話

「あ、なら私は………」



服部くんの手をパッと離す。



「悪いけど先約は一ノ瀬さんだからごめんね」



服部くんは振り切る。


先約なんてしてたかな?



ふと考えると、通り過ぎた時に小声で


『大して可愛くもないくせに』



こんな役回りやだな。


いつものことだけど、久しぶりに言われると胸に刺さるものがある。



椅子に座り、ビールがきた。



「一ノ瀬さん。ビールで大丈夫だった?」


「大丈夫だよ。ありがとう」



ビールが入ったグラスを擦り合いひと口。



「美味しい…」


「良かった」



すごい笑顔だな。


さっきの仏頂面と大違い。



「服部くん、私たち先約してないよね?なんで嘘ついたの?」


「バレたか。ごめんね?」


「謝ることではないけど……」

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