第86話

彼女とはもう6年も会っていない。




リカが死んで東京に俺は戻った。




それから少しした時だった。電話が繋がらなくなった。




不審に思い、裕二に確かめると「町から出ていった。」それしか言わなかった。





救急隊に「彼女はどこに居たんですか?」と聞くと「風俗街の道に倒れていた。」と言っていた。




一瞬目の前を通っただけ。きっと、彼女じゃない。




救急車には運ばれてきた女性の知り合いも同席していたらしい。




「すみません、あの……さっき運ばれて来た女性の名前、教えてもらえませんか?知り合いかもしれなくて。」派手な見た目をした女性は




「鷹村凛。」そう言った。知らない人だ。





俺が知っているのは、渡辺鈴。




仮に結婚していても名前まで変わっているのはおかしい。




「……鷹村…」なぜかその名前に違和感を覚えた。




一度外に出るとスマホを出した。




少しコールが鳴り「こんな時間に何だよー。久しぶりだな洋。」と声がした。





「なぁ、裕二。鷹村凛、この名前に聞き覚えはあるか?」そう聞くと裕二は「……知らねえな。そいつがどうかしたのか。」と言った。




「病院に運ばれて来た。」そう答えると電話が切れた。





裕二は何か隠している。そう思い、院内に戻った。




さっきの救急隊が何か持っていた。マフラーだ。





この時に確信をした。彼女はリンだ。




リカがリンに昔渡したものだった。





「それって……」俺が聞くと「さっきの女性のものです。」と言われた。

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