第78話

お金持ちとは知っていたけど、まさかこんなに大きなお家に住んでる人とは…





「裕二か。」中からすごく風貌のいいお爺さんが現れた。




「ただいま、じいさん。」裕二さんがそう言うと「ん…、お前、誠だな……真っ黒だな」と後ろにいた誠くんを見て驚いていた。






「とりあえず中に入りなさい。」お爺さんにそう言われて、大きな和室に連れて行かれた。





「俺、結婚しようと思うんだよね!」誠くんがそう言うと、お爺さんは呆れてため息をついていた。





「父親のことに言って聞いてこい。わしは知らん。」お爺さんにそう言われると誠くんはアリスさんの手を引きどこかへ行ってしまった。





「………で…君は……ん?リカちゃんのお店にいたでしょ?」お爺さんは私の顔を見つめてそう言った。






「分かってるなら早いな。この子、リカの可愛がっていた子だよ。爺さん、これから俺がすること……止めないで欲しい。」私は裕二さんが何をする気かわからなかった。





「リン、お前……全てを捨てる勇気はあるか?」裕二さんは真剣な顔で私に聞いた。






「……え?」私は顔を上げた。





「全てを捨ててここから出ろ。そのための準備は全てしてやるから。」

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