第75話

橋の上、私は川を見下ろした。





「ここから落ちたら死ねるかな?」ボソッと呟いた。





昨日は雨だったから水の流れは早い。




私は橋の上に登ろうとした。





「アナタ、ナニシテンノ?」その声に驚き振り返った。




金髪の美少女が私を不思議そうに見ている。





「ダメヨ!!オチタラ、クルシイヨ!」そう言う彼女の声を無視して私はまた登ろうとした。金髪の美少女は私の腕を引き、引き止めようとする。





「何してんの?アリス」遠くから男の人の声が聞こえた。





「ダーリン!コノヒト、オチルツモリヨ!トメテ!!」美少女が叫ぶと走って駆け寄ってくる音が聞こえた。






男の人の力には敵わなくて私は橋から離れた場所まで移動させられた。





「ダメだよ〜、こんなとこで。送ってあげるから家どこ?」男の人は私にそう声を掛けてきた。





「ソウヨ!ダメ!!ゼッタイ!」美少女もそう言う。





「……いえ…大丈夫です…ご迷惑おかけしました。」私は俯いたまま、その場を離れようとした。






「ちょっと待て。」男の人に腕を引かれた。





「お前、リン?」そう聞かれて私は顔を上げた。





「ダーリン、シリアイ?」美少女は驚いたような声で言った。





「……誠くん?」ずいぶん黒くなっていて気がつかなかった。






高校卒業ぶりの再会だ。

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